街は正しさで満ちていて
私たちの居場所は見つからなかった
あるときは紅いダイアナを履いた天使
さよならの温度差が激しい二人は憎み合う
運命は神様が食べこぼした幸せの残骸だった
海に潜む死に損ないは陸へ新しい世界を見出そうとし正しく死んだ
私たちは悲しいわけではなく
行き場を失くした愛情を
涙に浮かべて戯れているだけの人形に過ぎない
波は怒りに似ている
呑み込まれた者は戻ってはこないのだろう
夜空が猥雑なネオンで穢されてゆく
ひとの不幸が酒になる街
ひとの不幸が金にかわる街
ひとの不幸が不幸なままな街
この街には
月が綺麗ですねと言われて傷付くひともいる