2020-01-01から1年間の記事一覧

月夜

紅色の雲は夜になり銀糸の帳へと変貌した。 傘は持っていなかった。 頬を濡らす雫は冷たく、しかし随分優しい雨だと思った。 手放した慕情が夜風に舞い月へと向かう。 一筋の柔らかな光となれ。 叶わなかった恋も失った恋も、光となり愛しい人を照らしてくれ…

2020/05/08

晴れ。夏は忍び足で近づくなんて書きたかったが、昼休みに建物の外に出ると太陽のまぶしさが目の奥を叩く感じで、おもわず足を止めてへたりこんでしまった。もう時期、夏はフルスイングでやってくる。 二年くらい同じ場所に止まりっぱなしのママチャリがある…

喫茶店の孤独

喫茶店は孤独の塊である 食事時になると残るのは孤独な者だけだ 本を読むもの 勉学に勤しむもの パソコンのキーボードを叩くもの 虚空を眺めるもの その中で限られたものだけが何もしないという美徳を得ることができる 何もしないものは実に高貴だ 限られた…