年の瀬、液体、魂、形而上。

消えぬ業火で過去を全て燃やした男が
自らの苦しみに飲まれて消えた時
悲しみにくれて自殺を計った女が
全てを許して生きる事を決意した時
「誰でも良かった」と宣う男が
あいつだけは」と額を地面につける時
一人に人生を奪われた女が
また一人の人生を奪う時

たとえば我々は即座の意思疏通には音声を使わなくてはなりませんその物理的な伝達には齟齬がどうしても生じますその人間として仕方ない部分が怖いのです人間は物理的に歩かざるを得ません歩行にもいつまた不具合が生じるやも知れない漠然とした不安があるのです

白紙撤回も間に合わず刺殺されたあの人夏の蝉の鳴き声と共に揺らいで消えてしまったあのひとは精神復活の儀式の為にまずは信頼を葬儀しなければ彼は帰ってこないのです爪先からせり上がってくるどろどろどろは心臓を三分の二ほどへばりついているようでそれは何故ならば棒に鼓膜がぎいぎいして足しか笑顔まで赤くて怖いのです見えたり見えなかったりします本当に怖いのです全ての人間が人間であるための肉体という呪いによる物理的恐怖のない安寧が腹を見せていました輝きはありませんでしたひたすらに暗い純粋に湿った闇でした。

アバンチュール、即ち死体
センチメンタル、即ち深海

世界は狭かったしお前はもう捨てられてるしまた同じ過ちを繰り返してる。忠告はしたつもりなんだけどな。忠告はしたつもりなんだけどな。

普通に生きろ。

つつがなく生きろ。

最高にそれが難しいことだし立派な事だから。