嘘のつきかた
私は「バカほど無駄な嘘をつく」とよく言っている。
嘘はモチベーション維持のためつかれるべきで 虚栄心を満たしたり、自前のテンションを上げるためについてはならない。否、つくべきではない。
嘘はお前の身を守り、かつ滅ぼすだろう。このことさえ忘れなければ。
嘘をつくためにはまず自分を知らなければならない。 虚栄心から自分を大きくみせようとしたり、自分のテンションを上げるためについた嘘はいずれお前を、 地獄の底まで連れていく傾斜となる。
身の程を知らない嘘はいつかお前を、お前から奪う。
さて、上手い嘘のつきかたを教えよう。
嘘に半分だけ真実を配合するのである。
(濫用された在り来りな常套句)
これで嘘は自分でも嘘かどうかわからないくらい上手な嘘になる。
だから自分の手を離れても大丈夫なようにお前はまず、お前自身を知らなければならない。
どうしても嘘をつきたいときはどうすればいいか。 手段の目的化、というやつだな
こういう衝動には抗えない。
といって、見す見す己から転げ落ちてゆくことはない。
阿呆な男子中学生のリビドーと同じように慰めてやればいいんだ。
どうでもいい嘘をつくんだ。
誰も傷つけない、強いて云えば自分だけが傷つく嘘を。
嘘をつくのが痛ければ、苦痛に感じれば、もうしたくないって思うだろう。
具体的には、たとえばこういう嘘はどうだろう。
「私、枕にポンデリングを使ってるんです。朝起きた時油でギトギトで…」云々。
どうだろう。
結果的に特殊性癖保有者の餌食となってテンションを上げてしまったか?
或いはこういう指摘もあるかも知れない。
「私はポンデリングを作っているのだが、まさかこんな使われかたをしているだなんて。残念極まりない。傷つきました」
こんなときには、こうだ。
「安心してください、消費期限切れのポンデリングです」
ポンデリングがポンデリング然としてその役目を終えたあと枕として活用されているのだと知ればポンデリングの作り手、つまりミスタードーナツの厨房担当は自分の苦労を無下にされたわけではなかったと知り安堵するにちがいない。