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お会計。レジ前、小銭ストレス。

この財布を使いはじめて何年経っただろうか。そしてこの財布に嫌気がさしてどれ程の時間が経過しただろうか。財布を何度買い換えようと思っただろうか。
私の財布は非常に扱いづらい。100人居たら100人が口を揃えて「これは酷い」と言うだろう。それほど機能性が最悪なのである。閉まるところは閉まらず、開くべきところが開いてないのである。カードの類いを収納するポケットはカードとの密着率が異常に高くでレジの店員さんに「ポイントカードはお持ちですか?」と聞かれてからでは遅いくらいに取り出しづらいのである。
そして問題は小銭を収納するスペース。これが厄介であり私のストレスの元凶、悪の権化そのものなのである。
なんと言っても狭い、非常に狭い。小銭入れを開き指をそこに入れる、するとどうだ、狭すぎる、指先さえも窮屈。小銭は取り出せる、しかし取り出せるだけであって『狙った小銭』は取り出せないのである。小銭入れ内でバタつく人差し指と親指、逃げる小銭。もたつく会計。

1円玉を出したいのに50円玉を取り出したり、100円玉を取り出したいのに10円玉を取り出したりは日常茶飯事。私が希望する額の小銭達を私の指はこの狭き小銭収納スペースのおかげでスタイリッシュに取れた試しがないのである。(取り出せるには取り出せるがスタイリッシュではないのだ)
その中でも厄介な小銭は1円玉、5円玉、10円玉たちである。

そこで私が考案したこの問題の打開策。
外出時には事前に小銭をポケットに常に忍ばせるというものだ。
パンツの右ポケットには1円玉数枚、左ポケットには5円玉数枚、胸ポケットには10円玉数枚を入れておく、そして会計の金額がレジの液晶画面に表示された瞬間ポケットをまさぐり、端数額を叩き出すのだ。
これがなかなか使える。非常に便利である。
しかしこの策には欠点がある。
ポケットを全力でまさぐる姿が素晴らしくみっともないのである。

いつもコンビニで買う缶コーヒーは123円。事前に買う物の値段が把握出来ている場合などはコンビニに入る前に財布、ポケットからゆったりと小銭を出してスタイリッシュにお会計を済ませる事が出来るのだが、2品、3品、購入したりする場合は全力でみっともない姿を晒さなければならない。
私はもう、慣れた。慣れてしまったのだ、ポケットをまさぐり尽くすみっともない姿を晒すのには。

しかしこの策は根本的な問題の解決にはなっていない。
私は『レジでどんな額が表示されようとも涼しい顔をしてスタイリッシュにお会計を済ませる事』が目的なわけであってポケットをまさぐることが目的なのではない。
私の目的はスタイリッシュに会計を済ませる。
この一点なのだ。

これをお読みになっている方々は『こいつ何言ってんだかアホか、財布買い換えろや』と御思いだろう。

全く以てその通りなのである。

カードも小銭も取り出しづらい、もはや財布として見ていいのかすらわからない財布を長年使う意味はあるのだろうか?
全くない。
問題の解決策は財布を買い換えればすぐ解決する、解決はしなくとも今よりかは幾分マシになる。
そう、そうなのだ。

この財布は確か1000円くらいで買った記憶がある。購入した時は機能性など全く気にも止めていなかった。後にこれ程までに苦しめられるとは思いもしなかった。
1000円のこの財布が私に与えた小銭ストレスは1000円以上の価値があると私は思う。
蓄積されたストレスはプライスレスである。

何故、私はこの財布にストレスを感じながらも長年使い続けているのか、謎である。
私にもわからない。愛着がある訳では無い。
ならなにか?『情』なのか?
全く謎だ。

いや、原因は私の習性にあるのかもしれない。
私には幼い頃からある特定のものをひたすら使い続ける習性があるのだ。
中学生の頃履いていたズボンを未だに部屋着として着たり、靴は同じものを穴が空くまで履き、穴が空いたらまた同じ靴を買ったり。
歯磨きをする時に使うコップに関しては幼稚園の頃から使っているマグカップをかれこれ20年程使っている(20年使っているが驚くほど綺麗なのだ)。
どれもこれも特に愛着がある訳でも依存しているわけでもない。ピーナッツ(スヌーピー)でお馴染みのキャラクター、ライナスが病的なまでに常に持ち歩いている『安心毛布』と私のこれらの物に対する感覚は全く別なのである。(しかしライナスの毛布に対する気持ちはわかる)
捨てようと思えば捨てることが出来るものだ。
ほんとに、ほんとに愛着は全くない。でも、捨てる事をしない。
謎の習性である。

恐らくそのあたりの習性が財布にも影響してしまっているのかもしれない。

うーむ、どうするべきか。このまま小銭ストレス全身に浴びながら財布と共に生きていくのか、それとも、素直に買い換えてこの支配から卒業するべきか。
そうだねぇ、買い換えましょうかね。
季節も変わりますし、財布も衣替えしましょうかね。
うむ、そうしよう。

その前に衣類の衣替えをしなければ..

私のタンスの中は未だに冬なのである。